盆地人
毎号マル高が書いているコラム。一面に掲載しています。「甘木・朝倉・浮羽版」では、地元人語というタイトルです。※写真は本文と関係ありません。
410号(2008.7.20発行)
先週、埼玉県で開催された中小企業家同友会の総会に出席した。全国から1400名が参加し、18の分科会で活発な議論を交わした。 私の分科会は「中小企業立県をめざす行政と私たちの関り」をメインテーマに「いち早く中小企業振興基本条例を制定した埼玉県と私たちの課題」をサブテーマにして、県議会議員、県産業労働部長、地元中小企業代表がそれぞれの立場から報告を行い、その上でグループに分かれて討論をした。議論の内容は別の機会に紹介したいが、この分科会で30名前後の方々と名刺交換をさせていただいた。 私の名刺を見て「大分県」と気づくとすぐに「大分県は大変ですねえ」と言葉が返ってきた。北海道から沖縄まで全国から参加しているのだ。ひとり一人と挨拶を交わせば1400人の方々が大分県の教育汚職問題について触れたに違いない。連日、新聞もTVも全国トップニュースで取り扱っているからだ。予想はしていたものの本当にうんざりした。「金で教職も出世も買える業界であったのは以前から知っていた」、「事件は氷山の一角でまだまだ逮捕者は出るぞ」とか、「大分県だけではない」、などと言う。たしかに「ゴキブリを1匹発見したらその周辺には1000匹いる」と殺虫剤屋さんから聞いた事があるが「戦後最大の教育汚職事件」としていつ取り外されるか解らない暗い重しが経済環境の激悪状況に苦しむ地域社会に乗せられてしまっているのだ。
411号(2008.8.3発行)
日本の食糧自給率が39%という状況の中で食品の値上げが続いている。食材の購入や献立を変えたりして様々な防衛策をとっている家庭も多い。ところが外食産業やスーパーおよび家庭の食品関連ゴミを合計した1年間の食品廃棄物は1900万トンあるという。特に外食産業やホテルでの食べ残し問題は深刻である。 農林水産省の調査によると、結婚披露宴では約23%、宴会では15%もの食品が食べ残し捨てられているという。私の体験では酒好きの多い席での食べ残しはさらに多い。料理を多くとると満腹感で酒が美味しくないし、飲めなくなるというのだ。ホテルでのパーティーや朝食はバイキング方式の場合が多いが料理を皿に山盛りにして自席に並べ食べ残しているのもよく見かける。料理だけでなくビールなどの飲み物も残されている状態は食料危機とは別世界の飽食の風景である。 宴会の幹事をされたことがある方は飲み物と料理の質と量と予算に苦労した体験をお持ちだと思う。多ければ食べ残しが出るし、少なければ食べ物の恨みは恐ろしいと言われるように、幹事批判や会場のホテル批判にまで及ぶのだ。家庭では食事の量のコントロールは可能だが飲食店はメニューの選択はできても量は「並」か「大盛り・特大」などしかない。 メタボリック問題もあるのだから適切な量が注文できるようなシステムにし、肥満も食べ残しも控えめな日本になるべきである。
412号(2008.8.22発行)
「盆と正月が一緒に来た」気分を味わいたくて昨年からこの間の朝食は雑煮にしている。馬鹿馬鹿しいと笑われるに違いないが、本人は大真面目で今年の正月はおせちに「たらおさ」を合併させようと思っている。「たらおさ」「煮しめ」「野菜の天ぷら」「タラときゅうりの酢和え」「盆だんご」「そーめん」等々を3日間食べた。日本の食料自給率が39%しかないという問題はカロリー換算の数値である。お盆のような料理を食べていれば自給率は70%近くに跳ね上がるはずだ。 食の安全から日本の野菜が香港等の富裕層向けに高価格で輸出されていることや、世界的な食料不足問題に対して国内農業の生産性を上げることも話題になっている。しかし、休耕田を元の田畑に戻すことは簡単にはできない。また、7月に肥料代が一気に6割値上げしたという。日本は肥料原料のほとんどを輸入に頼っている。肥料も国内で自給しなければならない。自給自足100%の江戸時代は人糞を肥料にした。都市の糞尿を近郊の農家が肥料にしたのである。仲買人がいて問屋もあり、船で運ぶという流通、物流のシステムも成立した人糞産業があった。 現在は当時とはトイレの様式も大きく異なっているが水洗便器から下水道、汚水処理場に少し装置を加えれば人糞肥料が生産できるのではないか。私たちの自給自足の未来はウ○コの行末をしっかりと見据えなければならないのだ。
413号(2008.9.7発行)
中小零細企業の経営にとって適正な従業員の確保は非常に難しい問題である。様々な要因で「ネコの手も借りたい」と悲鳴をあげたくなる絶対的な人手不足に陥ることがある。景気の落ち込みで地方では最近そのような状況は見られないが、現況が非常に厳しい経営を強いられていて先行きも更に悪化が予測される場合、人件費削減のため企業の体力にあった従業員数にしなければ企業そのものの存続が危うくなる。生産性に見合った人員調整が可能ならばそんな楽な会社経営はないと中小企業の経営者達はいう。ところが、自らは少しも心を痛めることも手を汚すことも無く人員調整をシビアに実行して大きな利益をあげているのが大企業である。人材派遣会社に代行させている。労働者派遣は専門的な13の業務について1986年にスタートしたが、規制緩和の波に乗って対象業務が26に拡大、2004年には製造業への派遣も解禁され、これを機に派遣労働者は急増し、2006年で321万人を数える。派遣事業の売上は1988年の2661億円から2004年には2兆8615億円に肥大しているが、二重派遣などの違法行為や秋葉原事件など格差社会の元凶などと社会的に批判され法改正の流れが起きている。地方の中小企業の経営者と従業員は生産活動も生活活動も同じ基盤にあって地域を支えている。リストラなど軽薄に行えることではない。
414号(2008.9.21発行)
私の机の片隅にうずらの卵大の小石がある。十数年前に熊本県五木村の清流から拾ってきた川石である。遠い山腹にダム建設の為の道路工事が見える河原であった。再びこの地を訪れた時には、深い深い湖底に沈んでしまっているかもしれないと切ない気持でズボンのポケットにそっと納めた。蒲島熊本県知事は9月11日の県議会で現行計画を白紙撤回することを求め球磨川河川整備基本方針への不同意を表明した。1966年に川辺川ダム計画が発表され、多目的ダムとして計画が進められていたが諸々の経緯によって現在は治水ダムに目的が縮小されていた。ダム絶対反対であった五木村が態度を少し軟化した1976年にダム建設を閣議決定し建設省が告示したため住民が反発し8年も膠着状態となった。1958年から13年にわたって続いた松原・下筌ダム反対闘争も最初の説明会で山峡僻地の里人に対した九地建職員の態度の横柄さがあった。「『建設省は地球のお医者さんです。信頼して委せて下さい』という、まるで小学生を諭すような疎略な比喩。更には一転して、『日本は戦争に負けたんですよ。それを思えばこれくらいの犠牲を忍ぶことがなんですか!』という高飛車な威嚇(松下竜一著「砦に拠る」)」。ダム建設は「法にかない、理にかない、情にかなう」ものでなければならないとした室原知幸氏の理念は故郷を喪失させられた人々の苦しみが血肉化された国家の財産とすべきだ。
415号(2008.10.5発行)
先日、東京で開催された「障がい者問題全国交流会」に参加した。最終日に「交流会宣言」が以下の通り採択された。 私達は今、どのような社会を目指しているのでしょうか。今から60年前の1948年12月10日、世界の国々は国際連合の総会で高遠な理想を「世界人権宣言」として採択しました。その第1条には次のような一文が記されています。「すべて人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利において平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、同胞の精神をもって互いに行動し合わなければならない」。(中略)今から25年前の1983年には、経営者団体として異色の障がい者問題全国交流会を初めて開き、以来、障がい者雇用や、共に生きる企業づくり、地域づくりに力を入れてきました。皆様と交流する中で、今、生きること、働くこと、経営することの原点をそれぞれの立場から改めて見つめ直し、それぞれが今できることを浮き彫りにしてきました。(中略)そして、共に人間尊重の社会を目指す思いで、深く共感しあうことができました。この深い共感を胸に人類全体で地球を守ろうとする潮流をさらに推し進め、時に人間同士の「同胞の精神」に立ち帰り、私達は真に全ての人々が幸福に生きられる「人間尊重の社会」を目指して、今この時から、具体的な一歩を踏み出しましょう。 2008年9月20日第14回障がい者問題全国交流会
416号(2008.10.19発行)
(株)大銀経済経営研究所は「身近な商品の物価上昇実感度アンケート」の結果を「経済と経営」10月号で発表した。それによると「とても上昇した」66%と「まあまあ上昇した」33%を合わせて99%の人が物価上昇を実感しているという。購入品目による値上げ実感度合いはガソリン回答者の85・5%が「とても値上がり」と実感している。また「とても値上がり」「まあまあ値上がり」の合計が3割以上となっている品目は、小麦高騰の影響の大きいパン・麺類が47・1%、光熱費46・1%、卵・牛乳・乳製品36・3%と続いている。また、物価上昇の対策は「買い物をなるべく控える」が56・4%と最も多く、「安売りやセールを選んで購入」50・3%、「電気・ガスの節約を心がける」46・5%、「外食を控える」27・4%の順になっている。ガソリンの値上げ対策としては、「車での遠出をなるべく控える」が69・6%と最も高く、「運転やエアコン使用方法などで工夫」57・5%、「なるべく歩く」23・2%と続いている。大分市内のスーパーマーケットによると、「買い控え」の傾向に加え、ガソリン価格の高騰による「外出控え」も重なって、消費者が店舗に来る回数は減少し、1回当たりの購入量も減少しているという。我家の食生活は「安くて新鮮な旬のものをたくさん食べよう」でこのところ、サンマ、ナス、里芋、枝豆等が毎日のメニューになっている。
417号(2008.11.2発行)
経済産業省がこのほど公表した「特定サービス産業動態統計速報値によると、8月の広告業の売上高は前年同月比で5%減少し、6ヶ月連続で前年割れとなった。景気の後退懸念も増幅し、企業の広告出稿意欲が引き続き低迷。北京オリンピックの開催もあってテレビは売り上げ減に歯止めがかかったものの、新聞や雑誌、ラジオはいずれも減少した。売り上げ減が目立ったのが新聞。6ヶ月連続の減少で前年比は18・6%とお幅に減少、売上高も328億円と08年最低水準にとどまった。テレビは前年同月と同じ売上水準となり、6ヶ月減を免れた。主力媒体が売上を減らす中、インターネト広告は堅調に推移し、前年比15・9%と増となった。新聞出稿を減らした金融カテゴリーからの売り上げ増が目立ったそうで、一部企業では出稿媒体先をシフトする動きもあったとみられる(10月22日・アドバタイムス)。売上高では1位のテレビが1186億円、新聞が328億円、インターネットが126億円、以下雑誌、ラジオという順になっている。情報収集源の調査によるとテレビからという人が一番多く、次が新聞でインターネット、雑誌、ラジオとなっていて広告売り上げ順位と比例している。私も移動中は携帯電話でニュースを読むが若者たちはもっとPC・携帯を利用して多様な情報をとっている。数年先には新聞もインターネットに追い抜かれる違いない。
418号(2008.11.16発行)
共同通信社が実施した全国電話世論調査で、政府が追加経済対策に盛り込んだ総額2兆円の定額給付金について、「評価しない」と答えた人が58・1%に上り、「評価する」の31・4%を上回った。使い道については「生活費」が50・3%、「貯蓄」21・2%で「娯楽費や高価な商品の購入」は16・9%と少ない。また、支給対象への所得制限は設けない考えを表明した首相は「5千万円もらっても高額所得じゃないという人もいれば、5百万円もらってもいらないという人もいる」と述べ、受け取る側の判断に任せる考えを示したという。給付金の金額や、支給方法など混乱しているが国民の方が冷静だ。給付金という役所言葉も制度としては還付金と同じではないか。元々は私達が納めた税金である。即効的な使用法の一つとして「国民の皆さんからお預かりした税金ですが取りあえずその1部をお返ししますので景気がよくなるようにパッと使って下さい」ということなのだろう。しかし、多くの国民は現金を返してもらうより未来に希望を持って子供から高齢者まで安全安心に暮らすことのできる「国造り」のために大事に生かして使われることを期待しているのである。行政に携わる人は予算を組んで使途を企画している「お金」は自分たちが稼ぎだしたのではなく、納税者の血と汗と涙の結晶であるという原点を見失わないでもらいたい。国民と乖離した醜い役人になってはいけない。
419号(2008.11.30発行)
調査会社のインフィニティ(東京・港区)と市場調査社名古屋(名古屋市)は独身女性のデートの支払いに関する意識調査を実施した。男性と一緒の時は総じて割り勘派というのは60%、おごられたいという人は39・5%だった。割り勘派は30代前半だけでみると53%で、年齢があがるほど割り勘派の比率が低下することもわかった。デートの場所を限定すると、バーや高級レストランなど非日常的で単価の高い店ほど、おごられたいという意識が高まる傾向がみられた。お金に関する男性の行為で「許せる」度合いが高いのは、100円ショップ好き(79%)、いつも割引クーポンやポイントカードを持ち歩く(73%)といった倹約行為、逆に「嫌」というのは、貯金がゼロ(93・5%)のほか、デートは必ず高級レストラン(72・5%)などバブル期のようなデートには抵抗は高いという。 私たちの地域でも一時、180円近くまで高騰したガソリンの値段も120円を切った。原油価格も半分以下になっているので、さらに100円以下が期待できるのではないか。すでに、スーパー各店も値下げに踏み切っているし、消費者の安くて安全な商品を求める傾向は一段と強くなっている。高名な経済学者の経済論や景気対策よりも実体経済の中で家計を切り盛りする堅実な女性の市場経済論に支持されない企業や商店が生き延びることはできない。

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